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ごとう歯科
2023.07.30 11:41
歯根破折とは、歯の根にヒビが入り割れている状態です。
歯根破折には水平性歯根破折と垂直性歯根破折があります。
水平性歯根破折(横のヒビ)は、事故や転倒などの外傷によって起こります。これはケースによりますが治ることが多いです。
垂直性歯根破折(縦のヒビ)は、主に咬み合わせの力が過剰にかかっている場合に起こり、この垂直性歯根破折の方が圧倒的に多いです。この記事での歯根破折は、垂直性歯根破折について述べています。
歯根破折はどうして起こるのでしょうか。主に二つの原因があります。
歯根破折は歯の神経をとってある歯(失活歯といいます)によく起こります。
歯の神経とともに、歯を栄養している毛細血管も失われているため、歯の神経がある歯(生活歯といいます)に比べ、失活歯の方が水分量が少なく脆い性質になっています。また、失活歯の処置で太い土台(コア)が施されている場合などは、残っている部分(残存歯質)が薄くなり、ヒビが入り割れやすくなります。
歯ぎしりやくいしばりの強い方は歯根破折が起きやすいので注意が必要です。
失活歯に応力が集中すると歯根破折が起こりやすくなります。
特に咬み合わせがアンバランスな方は要注意です。
咬み合わせの問題により、歯列に力が分散されていないとやはり応力が特定の歯に集中してしまいます。
また、片側に入れ歯が入っていたり、ブリッジが入っていたり、または詰め物がはずれているのを放置していたり、などで片側の咀嚼能率が落ちている場合は、咬みにくいのでその反対側でばかり咬んでいると歯根破折が起こりやすいです。
咬むと痛みがある
歯ぐきが腫れた 歯ぐきにニキビみたいなのがある 嫌な臭いがする
症状が進行するとズキズキした痛みになる
一般的には抜歯の適応です。
歯根破折は、抜歯の原因の第3位にあげられます。(ちなみに1位は虫歯、2位は歯周病)
患者さんにとっては大変ショックだと思いますが、私たち歯科医にとっても予測が難しく辛い悩みの種です。失活歯に対しては、この歯根破折をとても警戒します。
抜歯後は、ブリッジ・入れ歯・インプラントなどの治療法があります。
前述の様に、歯根破折は咬み合わせのアンバランスな方、歯ぎしり食いしばりの強い方に起こりやすいので、第2第3の歯根破折を起こさない様にしっかりと咬める支えを作るという点ではインプラントが優れています。(咬合力の比較では天然歯が100%とするとインプラント90%・ブリッジ60%・入れ歯10%とされています。)

この患者さんは、ご自身でも夜間の食いしばりを、ある程度自覚されていらっしゃる方でした。奥歯の咬んだ時の痛みを主訴に来院されました。歯茎の腫れとニキビのようなできものがありました。これはろう孔といって、中にウミが溜まっている時のウミの出口です。
全体的に歯のすり減りが見られ、下顎の歯列の内側には骨隆起という骨の出っ張りが見られます。これらは歯ぎしり・食いしばりが強い方の特徴です。

レントゲンが確定的ですが、歯根を取り囲む黒い影が見られ、よく見ると縦にヒビが入っています。
患者さんとお話し相談の上、抗生剤服用で腫れを引かせてから後日抜歯しました。
抜歯時は、歯根破折部分に細菌感染があるので臭いが強くありました。患者さんも「臭かったですね〜」とびっくりされていました。もちろん抜歯後は原因歯が取り除かれるので、臭いは無くなります。
抜歯後はインプラントを選択され、快適に咬めています。そして、「もう歯で痛いのはこりごり」と他の歯のメンテナンスもしっかりされていらっしゃいます。

この方も、CASE1の方と同じ様な経過でいらっしゃいました。この方の場合は、すでにブリッジが装着されて何年も経過していて、歯根に咬合力の歪みが強くかかって疲労で破折した様な感じです。歯根破折から、歯根の分離が進んでいて、黒い影が取り囲んでいます。(黒い影は、細菌感染と炎症によって、歯の周りの骨が消失しているところです)
この方は、抜歯後の喪失本数が多くなるため、インプラントブリッジを設計してしっかり噛める方を選択されました。
以上、患者さんがあまり知らない歯根破折についてお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
歯の神経をなるべく取らずに済む様に、虫歯を進行させないこと
しっかり咬める咬み合わせを安定させること(就寝時のマウスピースを勧められることもあるかも)
歯に違和感や咬合痛があったら受診して調べてもらう
定期検診に行く
安心して食事を楽しめる、しっかり咬めることって当たり前なことですが、とてもありがたいことです。
それは、当たり前に歯がある時は気付けませんが、失って初めて気付くことだと患者さんからよく言われます。患者さんのそんな当たり前の幸せをいつも願っています。
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